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「我々は、重大な問題に直面している」
 北天騎士団団長に就任したてのザルバッグ・ベオルブがきっぱりと言い放ち、
「そうだな」
 団長直属の副官エバンス・フェグダは頷き、視線を落とした。ザルバッグもそれに倣う。
 二人の間にあるテーブルには、高さ五〇センチはあろうかという書類の山が三つも鎮座している。
 これらは、ザルバッグが前団長…ザルバッグの実の兄、ダイスダーグ・ベオルブから引き継いだものである。本来ならばザルバッグが一人で目を通すべきものだが、彼はあれやこれやと理由をつけて先送りにしがちなので、エバンスは円滑な経理管理と自身の精神安定のために整理を手伝ったのだ。
 どの文書にも「第一級機密」と注意書きされているだけあって、記されていた内容は驚愕に値するものだった。エバンスは書類の山をテーブルの端に押しやり、ため息をつく。
「ここまで食糧の備蓄がないとは。現状の兵員を保つと仮定した場合、この備蓄量では四ヶ月後には兵が飢え始めるぞ」
 最強と名高い騎士団といえども、満足な食事がとれなければその強さを発揮できない。餓えから兵の士気が著しく低下し、将軍に対する不満・不平が鬱積し、統帥権が軽んじられる。
 だからこそ、“食糧と兵士”が兵法の基本と言われているのだ。
 しかし、今の北天騎士団には、前者の要件が欠乏しつつある。いや、正確には、先の鴎国との戦争で肥大化した軍に比して、食糧供給が追いついていないのだ。三十万という兵の数を戦争勃発前の五万に減らせばかなりの余裕ができるが、事態はそんなに甘くない。
 彼らのうちで故郷がある者は帰郷するだろうが、農村という農村は先の戦争で壊滅的なダメージを受けている。荒野と化したかつての田畑を五十年戦争勃発前の豊饒の土地に戻すには、耕作に土入れに肥料など、収穫には直接結びつかない作業が数年は必要だろう。零細な資力しか有さない農民にそれを強いるのは、経済的にも心情的にも無理があろう。飢えを満たすために、彼らの多くは食糧の集まる場所へ、街へと流れるはずだ。
 しかし、消費社会である街では、農村と違って現金と引換でなければ食糧は手に入らない。そして、彼らの多くは、僅かな金額しか有していないだろう。畏国は、鴎国との和平協定で畏国は莫大な賠償金を支払うことを義務づけられており、徴兵時彼らに支払うと約束した報奨金の支払いさえ滞りがちだからだ。このことも北天騎士団の信義にかかわる重大な問題だが、騎士団の予算を増減させる権限を有する重臣達の財布の紐は、この点に関してはおそろしく固い。
 このまま状況が改善されなければ、街には兵あがりの浮浪者が溢れ、街人との間で食糧をめぐる争いが頻発し、治安が乱れて人心は不安と猜疑に彩られ、犯罪発生率が上昇し、物資の流通が滞り、ただでさえ弱っている経済基盤が決定的な打撃を被るだろう―――。
 エバンスが思惟の海から現実に意識を戻せば、面前の新米北天騎士団団長は無言で考え込んでいる。彼の険しい表情から、ほぼ同じ危惧を抱いていると察した。
「…知恵を借りてくる」
 長い沈黙のすえ、ザルバッグは疲れ切った様子で執務室を出て行った。
 エバンスは無言でその背中を見送り、そして、さしあたりすべきと思われる作業を、テーブルに放置されたままの書類の山を片付けだした。
 その日、ザルバッグは執務室に戻ってこなかった。


 翌日、執務室に現れたザルバッグは、昨日と違ってすっきりした表情をしていた。
「解決策がみつかった」
 部屋に入るなり、彼は挨拶もせずに切り出した。
「明後日の御前会議で提案したいから、文書としてまとめてくれないか」
 鷹揚で懐深い人柄をそのまま反映したかのように、ザルバッグの字は筆圧が強く一字が大きい。実に読みやすいが、普通なら一枚で終わる報告書が彼の手にかかれば二枚必要になることが多く、書類向けの文字ではない。不必要に厚い文書だと、途中で面倒くさがって十分に目を通してもらえないおそれがあるからだ。
 自分が団長直属の副官に任命されたのは、文書の代筆と、最高司令官という立場上必ずつきまとう事務作業を肩代わりさせるためだ。
 ―――エバンスはそう認識している。
「用意いいか?」
 ザルバッグの声にエバンスは意識を現実に戻し、副官用の机に座り、引出から紙とペンを取り出した。用意ができたことを、目で合図する。
「今年中に、騎士団の兵力を現在の歩兵二十五万・騎兵五万の計三十万から、騎兵五万に縮小する」
 決然として言うザルバッグに、エバンスは内心で同意した。
 各地で暗躍する盗賊達の捕縛。農村の復興。耕作地の開墾。破壊された建築物・水路の再建。街道の整備。警察機構の構築。
 年が改まった直後に開かれた緊急御前会議において軍師ダイスダーグ・ベオルブが最重要として挙げた事項から明らかなように、鴎国の侵略という脅威が和平協定調印で消えた現状からも判断しても、北天騎士団の意義は防衛から治安維持へと変わりつつある。
 各地から選抜された成人男子を中心に構成される歩兵を二十五万も擁する必要性はない。そもそも、倉庫の備蓄量からして不可能だ。しかるべき報酬を与えた上で、彼らの任を解き元の生活に戻す方がいい。
 問題は、二十五万人の兵士に支払う報酬をどこから捻出するか、だ。予算がないからと言って支払わなければ、反乱・謀反の口実になりかねない。
「具体的方法だが、歩兵二十五万人には農作業をさせる」
 あまりにも想定外な提案にエバンスの手は滑り、綴っていた文字の形が歪んだ。


 農作業と簡単に言うが、具体的にはどうするつもりだ。
 土地という土地は、貴族がすでに所有している。賃貸借契約を結ぶにしても、賃料の支払いをどうするのか。
 騎士団の武将は誰も農作業の経験がないだろうに、実際の作業の指揮は誰がするのか。
 もう白羊の月の半ばを過ぎているから、小麦を植えるには遅すぎる。一体何の作物を栽培する気か。
 爆弾発言の二日後、数々の疑問を胸に抱いたままエバンスはザルバッグと共に会議に出席したが、懸念事項は軍事行政を司る正軍師ダイスダーグ卿によってあっさりと解決され、具体案まで固まった。
 家督断絶からラーグ公に返納された土地を、北天騎士団に貸し出すこと。
 二十五万の歩兵を出身地別に百人単位でくみ分けし、北天騎士団の監督下において農作業を行うこと。
 収穫の二割は北天騎士団に支払い、残り八割は報酬として兵達の所有に帰すること。北天騎士団に納められた収穫物の半分は、賃料としてラーグ公に納めること。
 三年間賃料の支払いが滞られなければ、借主の地位は、北天騎士団が反対の意思を表示しない限り、その土地を耕した者に承継されたものとみなすこと。
 軍師の理路整然たる説明に納得したのか、危機的状況になりつつあることを理解したのか、それともあらかじめ根回しがされていたのか。重臣達は特に反対しなかった。そして、ザルバッグの案は賛成多数で可決された。


 定例会議の翌日から、エバンスは様々な事務的作業――歩兵二十五人を出身地別に班分け、賃貸する土地の選定、三年後の借主たる地位の自動的承継に備えての登記の変更、ラーグ公との正式な賃貸借契約書の作成等々――に、忙殺された。
「何で俺ばかりこんなに仕事がある!」
「…ばかりということはないだろう」
 北天騎士団本部内とはいえ自室だからつい出してしまった愚痴に、反応が返ってくる。顔を上げれば、憎らしいほど涼しい顔をした友人が戸口で佇んでいる。エバンスは睨み付けた。
「お前は執務室にほとんどいないじゃないか!」
「オレはオレで仕事をしているんだ」
「昨日、ガリランドに行ったこともか?」
「アカデミーに籍を置く農学の権威から話を聞くためだ」
「団長自ら行く必要があるのか?他の将官に行かせることもできるだろうに」
「直接話を聞いた方がわかりやすいからな」
「随行していたハンフリーから聞いたのだが、荷物を二個携えて士官アカデミーにも立ち寄ったらしいな」
 その瞬間、ザルバッグの瞳が不自然に泳いだのを、エバンスは見逃さなかった。さらに追及をかける。
「先月、酒の席で『弟が二人士官アカデミーに入学するんだ』と言っていたよなぁ、ザルバッグ…」
「そ、それよりも、大切な話がある」
 ザルバッグの表情が狼狽から真剣なものへと変化する。エバンスは矛先をひとまず収めた。
「今日、奥方はご在宅か?」
「いると思うが、ミレーユに何の用だ?」
「騎士団の明るく楽しい食生活のために、是非奥方の協力を仰ぎたい」
「………は?」
 ―――ザルバッグの言うことは、突拍子すぎる。
 咄嗟にそう思うが、ちょうどいい気分転換になるのは確かだ。何より、ミレーユの顔を見たい。
 エバンスはガリオンヌ領の戸籍を投げ出し、ザルバッグを伴って自室を出た。


「フェグダ夫人、ジャガイモ料理といわれて何を思い浮かべますか?」
 イグーロス城下にある北天騎士団所有の公邸の一つ、エバンスが妻と共に暮らす二階建ての建物の応接間で、ザルバッグが単刀直入に切り出した。質問の意図がわからなくて、エバンスは内心で首を傾げる。一方、尋ねられたミレーユは暫し黙考し、思いつくままに言った。
「ベーコン巻き、ジャガイモのグラタン、ポテトサラダ、オムレツ、オーブン焼き、串焼き、お肉とトマトの煮込み、揚げ物、炒め物、チーズ焼き、……あっ、スープに入れても美味しいですわね」
「素晴らしい!」
 ザルバッグは盛大な拍手をミレーユに送り、次いで、作戦会議時にも匹敵する真面目な表情をした。
「是非とも、あなたに頼みたいことがあります。これは騎士団の将来に関わる重大なことです」
「そんなことを私に仰ってよろしいのですか。夫の方が…」
「いえ、この点に関しては、あなたこそが適任です。たった今、私はそう確信しました」
 隣り合って座るエバンスとミレーユは互いに顔を見合わせ、ほぼ同時に視線を戻した。
 卓を挟んで向かいに座るザルバッグの表情は真剣で、ただならぬ気迫に満ちている。
 エバンスは何を言われても動揺しないよう、心構えをした。
「実は、我が北天騎士団は、軍縮の一環で歩兵に農作業をさせることにしました。麦や豆を植えるには時期が遅すぎるため、ジャガイモを栽培させるつもりです」
「………」
 つきあいの長さからとこれまでの言動からザルバッグの言わんとしていることを察したエバンスは、心構えを瞬時にといた。ソーサーを手に取り、妻の手による紅茶の薫陶を楽しむ。
 一方、夫ほど客人の性格を理解していないミレーユは、相手の表情にあわせて真面目に答えた。
「今から植えれば、二ヶ月後には美味しいジャガイモができますわね」
「ええ、その通りです。そして、収穫したジャガイモは、騎士団の食卓に載せる事が決定しています。が、兵糧担当者はジャガイモの保存方法は知っていても調理方法はさほど知らず、サラダ、スープの具材、煮物しか思いつかないのです。毎日そのメニューだと、『代わり映えがない』と騎士団員から苦情が来るのは明白です。ですから、様々なジャガイモ料理のレシピを開発し、兵糧担当者に提供していただけませんか?」
「………」
 ミレーユは表情の選択に困ったような顔をしている。彼女とは対照的に、ザルバッグは固唾を呑んで妻の返事を待っている。
 沈黙が時を支配する。
 ―――助け船を出すべきか。
 エバンスがソーサーを卓に戻しかけたとき、ミレーユがにっこりと笑った。
「私でよろしければ、協力します」
「ありがたい。新作料理は必ずエバンスに味見させた上で、そのレシピを彼に渡して下さい」
 『必ず』という一言を強調するザルバッグの口ぶりが何かの含みを感じさせ、エバンスとしては気になったが、問い質す前に妻が頷いてしまった。
「ええ、わかりました」
「では、よろしくお願いします」
 その言葉を辞去の挨拶に代えて、夕食を食べていかないかというこちらの誘いも笑顔で断って、ザルバッグは公邸を出て行った。
 妻と共に庭に出て、イグーロス城に通じる道を歩いて戻る彼を見送る。豆粒ほどの大きさになったその背中が夕闇色の街に溶けた頃、ミレーユがぽつりと言った。
「ザルバッグ様は、本当にお優しい方ですね」
「…?」
 妻の横顔に潜むものを見極めようと凝視するも、薄闇ではよくわからない。どういう意味か尋ねようとした矢先、ミレーユが機先を制した。
「わかりませんか?」
「…ああ」
「大丈夫。私が愛するあなたなら、もう知っているはずですわ」


 それから、早朝に出仕し夕刻には帰宅するという日々が続いた。
 世界で一番愛する女性が美味しい料理を作って自分の帰りを待っていると思うと、書類を繰る手が、文字と数字を追う目が、自然と速まる。
 限られた時間で処理しなければならないという気持ちが、精神を限りなく集中させ、結果的に処理効率を高めたようだった。二週間はかかるだろうと思われていた事務作業が十日で終わったことに、エバンスは驚いた。
 時を同じくして、農業用水路の修復が終わったとの報告が北天騎士団に届いた。三十年ほど前の呂国奇襲の際に破壊され、長の戦争で修復に割ける人員も予算もなくずっと放置されていたのだが、土地だけあっても良質の水がなければ農作物は育たない。故に、農業用水路の修復はザルバッグの案を実行する上で必要不可欠な前提条件だった。
 エバンスは、この報告を、ザルバッグと共に聞いた。決裁した書類の処理に対する団長の承認を得るために、彼の執務室を訪れていたからである。
 ――三十年以上もまともな管理がされていなかったはずなのに、随分と早いな。先の御前会議から二週間も経っていないが………。
 咄嗟に、次の実行段階へと移れる喜びよりも疑念がエバンスの脳裏をかすめた。だが、傍らにいる人物は表情を変えることなく、厚さ3センチはある帳面――先ほど彼が提出した歩兵二十五万の出身地別による百単位での組み分け表――に基づいて隊分けをし、各隊から一人リーダーを選出させよと指示する。命を受けた騎士が退出した後、エバンスは素直に疑問をぶつけてみた。
「農業用水路の現状調査と修復は、和平協定調印前から行っていたからな」
 ザルバッグはあっさりと答え、詳細を語ってくれた。
 すべては、彼の父親、天騎士バルバネス・ベオルブの指示によるものだと。
 鴎国との和平協定が成立すれば、五十年にも及んだ戦争は終わる。一応の平和が訪れる。しかし、今度は、国を守るために肥大化した騎士団の兵力が、新たな戦乱の火種となるのは歴史が証明するところ。ゆえに、和平協定が施行されたのならば、速やかに騎士団の兵員を削減しなければならない。
 二〇〇名を超える千騎長のうち、半数を占める五〇歳以上の者には家督を長子に譲らせて引退させれば、治安維持に必要な範囲にまで武将の数を削減できるだろう。
 問題は―――
「父上は、特に歩兵達のことを気にしておられた。『我らの求めに応じて故郷に残した家族のために死に物狂いで戦ってくれたのに、彼らが守りたいと思った故郷が、長い時間を掛けて開墾してきた土地が、戦禍で荒れ果てたままでは申し訳が立たない』と、よく仰っておられた。だからこそ、鴎国と和平の道を探り出したのと同時期に人を派遣し、耕作地に用水路、それに堤の状態を綿密に調査させ、修復作業も行っていた」
「………」
「農作業は、軍縮と兵士の失業対策とを兼ねた兄上の策。平和の具現という父上の遺志を現実のものとするために、必ず成功させてみせる」
 己が胸に刻むようにザルバッグは言い、書類に視線を落とす。
 エバンスは胸中で呟いた。
 ―――平和、か。
 物心つく頃から戦争状態だった。
 寝物語に英雄譚を聞かされ、玩具代わりに剣と弓を与えられた。十歳になったら、何も言わずとも武術の修練が始まった。十五歳になれば士官アカデミーに入学し、卒業すれば北天騎士団に見習い騎士として採用され、数ヶ月の訓練の後に前線に配属された。そして、鴎国兵と戦った。
 鴎国と戦うのは、自国を守るため。武人として民を守るため。ひいては、平和を導くため。
 騎士の端くれとしてエバンスはそう思ってきたが、今改めて考えてみると気づいたことがある。
 騎士として教養されてきて、そう思うようになっていたことを。
 そして、平和という言葉に込められた意味を、自分は心から理解していないことを。
 瞼を閉じて過去に思いを馳せれば、エバンスの脳裏をよぎるのは、記憶の大部分を占めている戦場の風景だ。
 剣戟。剣で肉と骨を断つ感触。苦悶の表情。絶叫。流した血。流れた血。
 戦のあとに降る、雨の冷たさ。折り重なった死体の山。二度と光を宿さない、無機質な死者の瞳。爆発音。肉が焼ける匂い。腐敗臭。
 決して戻りたいとは思わない。懐かしいとも思わない。率先的に話したいことではないし、妻には決して見せたくない場所でもある。
 戦争ということなら、もう知っている。
 では、その対極に位置する平和とは、具体的には何を意味するのか―――。
 視線を動かせば、ザルバッグは、嫌いな書類整理にもかかわらず不平不満を零さずに文字を目で追っている。
 騎士中の騎士である人物が、戦争の中で生きてきた男が、思い描く平和とはどんなものなのか。
 ―――見てみたい。
 エバンスは強い興味を覚えた。

- end -

2008.8.24

(あとがき)
「エバンスを絡めた、団長としてのザルバッグがメインのお話」というリクエストでした。あれやこれやと試行錯誤を繰り返し、エバンスが副官職を己の意志で引き受けた瞬間を表現してみました。
『人を真に従わせるものは、徳義と賢明。』
 そう言ったのは三国志の劉備玄徳ですが、ザルバッグも同じだろうと思います。彼が、頭ごなしに部下に命令する姿なんて、大きく動揺したとき以外では想像できない。皆さんが思い描くザルバッグもそうだと、嬉しいです。
 物語が中途半端に終わった感がかなりしますが、これ以上書けません。書こうと努力したのですが、付け足す文章すべてが余分な説明文のように感じられ、気に入りません。というわけで、ここで筆を置きます。
 ザルバッグの案が上手くいったかどうかは、長編でのダイスダーグの策謀の発端は何だったか思い出していただければ、想像できるかと。
 ……想像できる余地を残しすぎだというツッコミは、敢えてしないで下さいませ。

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